田中文照堂
平成29年度京都市伝統産業「未来の名匠」認定--
田中文照堂5代目店主である田中大晴が平成29年度京都市伝統産業「未来の名匠」に認定されました。
「未来の名匠」とは
京都市では,1200年を超える悠久の歴史の中で脈々と受け継がれる匠の技を未来に継承し,今後の伝統産業界を牽引する人材を育成することを目的に,京都市内で活躍する優秀な伝統産業中堅技術者の方々を「未来の名匠」として認定しています。伝統産業の各分野から候補者が厳選され、さらにその中から作品の提出やプレゼンテーションによって最終的に10業種10名が選出されました。
認定式の様子と申請作品
「未来の名匠」申請作品の製作工程--
「未来の名匠」に認定された手彫り印鑑の製作工程をご紹介します。
1. 面訂(めんてい)、面すり
印材の彫刻面(印面)を完全な平面にします。平面度の高いガラス板に貼り付けたサンドペーパー(各番手)を使用しています。2. 朱打ち(しゅうち)
印面に朱墨を均一に塗ります。3. 字割り(じわり)
印面に、印稿を左右反転させて書き込む「ガイドライン」となる線を引きます。朱打ちした印面を、先の細いもので擦ると朱墨が変色し線が引けます。
この特性を利用しています。今回は密刻部がありますので、正確に印稿を再現できるように全面に1mmの方眼を描きました。
4. 印稿(いんこう)作成
印鑑の設計図となる印稿を書きます。小筆と墨のみで書いていきます。ここで描いた筆意(筆使い)や細部の描写が全て出来上がりに影響しますので、時間をかけて、念入りに、納得のいくまでの作業になります。
5. 字入れ、布字(ふじ)
印稿を左右反転させて、印面に直接小筆と墨で書きこんでいきます。頭のなかで左右反転させますので、とても難しい工程です。
文字には「直線」はなく、直線に見えても微妙に曲がっていたり、太さが違ったり、それが「味」になっています。その微妙な部分を左右反転させて再現するのは、習得するまでとても時間のかかる工程です。
6. 粗彫り(あらぼり)
各サイズの印刀(この印刀も手作りです)を使い、字入れの後の印面を彫っていきます。朱墨の残った部分を正確に、丁寧に彫っていきます。
特に細部は印刀の切れ具合が仕上がりに影響しますので、「彫る技術」はもちろん、「印刀を研ぐ技術」も必要になります。
7. 粗仕上げ(あらしあげ)
通常は「粗彫り→面擦り→墨打ち」と進みますが、田中文照堂では粗彫りの後に、仕上げに使用する「仕上げ刀」という印刀を用い、一度アウトラインを仕上げます。この後、面擦りの工程で印面にサンドペーパーをかけますので、不必要かと思われがちですが、この一手間が最終的な作品の「美しさ」に非常に重要になります。
8. 面擦り(めんすり)
粗仕上げ後の印面をサンドペーパーで再び磨き、印面を再び整えます。この工程で、朱打ちで打ち込んだ朱墨も削り落ち、印面は「素」の木肌に戻ります。
9. 墨打ち(すみうち)
8の面擦り工程で素の木肌に戻った印面に、今度は墨を打ち込みます。木肌のままでは彫刻したアウトラインが見えにくく、仕上げ工程をし易くするために必要です。
10. 艶出し(つやだし)
墨打ち後の印面を「イノシシの牙」で擦り磨くと、墨に光沢が出ます。墨の表面が均され、強度も増しますので、結果として印鑑の耐久性も上がります。
また朱肉の付き、離れもよくなり押印し易くなります。
通常は行なっていないお店がほとんどだと思います。
11. 仕上げ(しあげ)
仕上げ用の印刀、仕上げ刀を用いて、文字の輪郭、枠、図柄、印面全てのアウトラインを調整します。文字の筆意、流れ、表現がここで決まる、「0.0数ミリ」の調整になります。
12. 試し押し(ためしおし)
実際に正確に押印して出来上がりを確認します。印面に朱肉を付ける際も、印面に過度に朱肉が付かないよう、指を使って朱肉を付けます。13. 捕刀(ほとう)
試し押しで再調整が必要な箇所が見つかれば→捕刀、を繰り返し、作品の完成度を上げていきます。14. 完成
京都府認定「京の老舗」授賞--
2016年2月10日、田中文照堂は京都府より四年に一度選出される「京の老舗」として表彰されました。
田中文照堂は、創業万延元年(1860年)、京都西陣に創業して約150年になります。
100年以上前から存在する事を証明するのは並大抵の事ではありません。
認定する側の京都府も昔の資料や写真を確認したり、
何度も店舗に足を運んだりと大変な作業となります。
昔の印鑑は今以上に大変重要な物であったため、制作した印影を役所や警察へ届け出る必要がありました。
その届け出の際の控えが日付付きで残っていましたので、それが証明の一つとなりました。
当時の印鑑はデザインの凝った物が多く、サイズも大きな物となりました。
はんこと言うより版画に近い感じで、もうそれは一つの立派な作品です。
古い資料を見ていると当時のはんこへの情熱が伝わってくるようです。
今後とも、京の老舗企業の一員として、その名に恥じぬよう、
150年以上続く伝統の技術を今後も堅実に引き継いでいきたいと思います。
法人の印鑑--
法人の印鑑
法人様のご実印、認印、角印、住所印、その他印鑑、何でもご相談下さいませ。
法人様の場合、印鑑の文字数が多く、またアルファベットやカタカナも混在する事が多い都合上、
ネットに一律の価格で掲載する事が難しい現状です。
価格も様々な商品を用意しており、掲載しきれないのが現状です。
ご相談の上、きっちりとしたお見積りを作成し、ご来店いただいたお客様と同じ対応をさせていただ きますので、ご面倒ですが、直接店舗までお問合せいただきますようお願い致します。
お問合せは電話、FAX、メールで受け付けております。
FAX: (075)441-4551 24時間受付
MAIL: tanaka.bunnshoudou@gmail.com 24時間受付
印影見本
手彫り印鑑の製作工程--
「京印章制作士」による、完全手彫り印鑑の製作工程をご紹介します。
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1. 印面調整
まず始めに印材の印面を紙ヤスリで平らに整えます。 -
2. 朱打ち
印面に朱墨を均一に塗ります。 -
3. 字割り
先の尖った物で印面を軽くこすって印面に精密に線を引きます。この線が文字を書く目安となります。
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4. 字入れ
細筆を使って直接印面に逆字で字入れを行います。 -
5. 荒彫り
字入れした文字を傷つけない様、朱墨の部分を彫刻していきます。 -
6. 荒彫り
ぎりぎりまで彫らずに少し余裕を残して彫るやり方を行っているお店も多いですが、 弊店では荒彫りの段階でかなり仕上げに近い状態まで彫ります。
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7. 印面調整
粗彫りの後、面擦りをして印面を平らに整え、一旦墨をすべて落とします。 -
8. 墨打ち
粗彫りで彫った文字の輪郭を確認しやすくするために、面擦りで墨を落とした印面に再度墨を打ちます。 -
9. ツヤがけ
墨打ちした印面を、イノシシの牙で磨きツヤを出します。
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10. 仕上げ
仕上げのための彫刻刀で文字の外郭をなぞるように整えていきます。 -
11. 完成
実際に何度か試し押しをして、気になるところの手直しを繰り返して完成です。 -
12. 捺印
印肉を印面にむらなくつけ、印章の上下を確認し、一定に力を入れ捺印します。
印材・サイズについて--
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【薩摩本柘】
繊維が緻密で木目が詰まっている【柘材】は、古くから印章の材料として使われて来ました。
天然植物系の材料の中では硬度と粘りのバランスが良く、篆刻(彫刻)に適しています。
近年は安い外国産の柘材が使用される事が多いですが、弊店では国内産にこだわり、その中でも最高級とされる【薩摩本柘】のみを使用しております。 -
【黒水牛】
水牛の角を加工し、黒く着色を施した【黒水牛】は、耐久性に優れており、また朱肉に馴染みやすく、捺印した時の感触が、非常に良いのが特徴です。またその黒い外観は威厳を備えており、特に銀行印、実印で非常に人気のある印材です。
弊店ではその中でも希少な【芯持ち材】のみを使用しております。
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【オランダ水牛】
象牙に次ぐ耐久性と押印性を持っている【オランダ水牛】は、その透けて見える模様の美しさも必見です。
一本一本その透けて見える模様は異なり、手にされた満足感は非常に高いと思います。
特に女性のお客様に人気の印材です。
弊店では数あるグレードの中でも最高級の【純白】の【芯持ち材】のみを使用しております。 -
【象牙】
名実ともに最高の印材として知られているのが【象牙】です。
摩耗にとても強く、手にした時の質感、捺印時の質感など、他の印材とは別格の満足感を得る事が出来ます。
近年はワシントン条約によって輸入が規制され、良質な象牙は手に入れるのが難しくなってきました。
弊店は通商産業省登録の【象牙製品取扱業者T-5-26-0009】に認定されており、【正規ルート】の【最高級】の品質のものだけを使用しておりますのでご安心くださいませ。
印材のラインナップは、直径サイズ6mmから18mmまで全10種類です。
手彫り・京印章について--
印章彫刻の方法には、「手彫り」「手仕上げ」「機械彫り」があります。
「手彫り」 | 電動工具、彫刻機械、パソコン等を一切使わずに、下書き(印稿)から字入れ
(=布字:下書きの文字を左右逆さまに「筆」で印材に書き込む工程)、荒彫り、仕上げまで
印鑑製作の工程全てを100%手作業で行う工法です。 基本的に墨(朱、黒)と細筆と印刀(印鑑を彫るための彫刻刀)しか使いません。 |
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「手仕上げ」 | 「手彫り」の工程の内、「仕上げ」の手前の工程までを彫刻機械で行う工法です。 つまり、彫刻機械が荒彫りした後に、職人が「仕上げ刀」で仕上げを施す工法です。 パソコンのフォントや手書き文字をスキャナーで読み取って、機械が自動的に左右逆さまに 荒彫りまでを行います。 一番重要で難しく、各職人の味の出る「字入れ(=布字)」の工程が無いために、印鑑の出来は 「仕上げの腕」にかかってきます。 「仕上げ」が悪いと、既成品のような出来になってしまいます。 |
「機械彫り」 | 印鑑製作の工程全てを彫刻機械が行います。人の手は一切入りません。 既成品と同じ工法です。 |
※「手彫り仕上げ」という彫刻方法の呼び名は認められていません。(造語です)
実は本当に手彫りをしているお店は少ないのです。
なぜならば、印鑑を手彫りするのは大変手間暇が掛かかるからです。(→手彫り印鑑の製作行程はこちら)
手彫りと宣伝したほうが売れやすいので、手彫り風のイメージ写真を表示したりしているお店は多いです。
弊店では完全手彫り印鑑と手仕上げの印鑑を扱っています。
手仕上げに関しましても非常に細かな仕上げを施していますが、誤解の無い様に明確に表記しています。
お求めの際は、ご確認ください。
「京印章」は国から認定された地域ブランドです。
京印章の特色は中国、漢の時代の重厚な作風を受け継いでおり関東の印章と作風が違う事です。 京都においては60余名の厚生労働省の技能検定に合格した技能士がが活躍しています。そして柘植(つげ)、水牛、象牙などを素材に伝統的な京印章を制作していますが、一方ではさらに自由な発想にたち、しかも文字の持つ意味をこわさない現代感覚の印章も数多く生み出されています。
弊店は【京印章制作士】常駐の【京印章販売處】
に認定されております。
田中文照堂について--
創業万延元年、京都西陣に創業して約150年。
代々、印章の手彫りの技術を伝承してきました。
全国のお客様に支えられて今日があると心より感謝いたしております。
弊店でお買い上げになられたお客様が、出来上がった印鑑を手にされた時、品質、
質感、作りの良さ、全てに満足していただける、と弊店が自信を持ってお薦め出来る印鑑だけを販売しております。
その為には、【高品質の印材】と【高い技術レベルの京印章職人による手作業】、
が必要不可欠です。
そこだけは絶対に妥協しないように、良い印鑑を作り続けるよう努力し、
誠心誠意、丁寧な対応を心がけていきます。
弊店は【京都府印章業協同組合】の加盟店です。
【京印章制作士】常駐の【京印章販売處】に認定されております。
通商産業省登録【象牙製品取扱業者 T-5-26-0009】取得。
田中文照堂の実店舗について
田中文照堂の実店舗をより一層知っていただきたく、
簡単ですがHPを作成致しました。(→田中文照堂のホームページ)
本当に古くて小さな店ですが、創業以来150年間、
何とかやって来れましたのは、全てお客様のおかげだと思います。
これからもお客様に喜んでいただける印章を作り続けたいと思います。
堀川今出川の交差点を東に約100m。
白峯神宮の隣に実店舗があります。
市営地下鉄烏丸線「今出川」駅より約10分。
バス停「堀川今出川」の目の前です。
万延元年(1860年)創業の古くて小さな店ですが、皆様のお越しをお待ちしております。
田中文照堂〒602-0054京都市上京区今出川通堀川東入 飛鳥井町255番地 電話:075-441-4348 FAX:075-441-4551 tanaka.bunnshoudou@gmail.com 【営業時間】 月曜日~土曜日 : 午前8時~午後7時(事前にご連絡頂ければ、延長営業も可能です。) 日曜日、祝日 : 定休日(事前にご連絡頂ければ、営業可能な日もあります。) |